岩間クンのおじいちゃんはなんでもやる人である。炭小屋をつくる。炭を焼く。木を切る。寺の庭園をつくる。日本ミツバチの養蜂をやる。米をつくる。野菜をつくる。草木を育てる。キノコを原木で栽培する。イワナやヤマメをおかずとして釣ってくる。家も建てる。牛を飼う。馬を飼う。森をつくる。もろもろの発酵食品をつくる(醸す)。衣類をつくる。ありとあらゆる刃物を扱う。チェーンソーもバックホーも自分の手の内にある。馬耕だっていまどきやっちゃう。もしかしたら熊だって手づかみで捕まえちゃっているのかもしれない(確かめたわけではない)。つまり岩間クンのおじいちゃんはついこのあいだまで、この国(日本)の田舎ではあたりまえの存在だったかもしれない(しかしいまやぼくにはとてもハードルが高い)、隣近所の山里スーパーマン
 写真は良平さん作の蓑。幼稚園児や保育園児にちょうどいいようなサイズのチビ蓑で、炭火の七輪とナラなどが燃える薪ストーブと白熱灯の熱で薄暗く暖まっている旧家の土間の空間の壁にそれはあった。いまはだれも(そして本人も)使わなくなった天然素材のミニチュアの雨具。誰かがこれを実用品として貰い受けに来るのを待っているかのように。