出口

       
 10ウン年かけてつくってきた林道が、出口を求めて最後の橋を架け、まもなく全体が繋がろうとしている。
 全長約9キロの林道をつくっている間に、時代は確実に変わった。
 当時なかったコンビニやサービス関係のチェーン店が、バイパスという新しい動脈を得て、田んぼに取って替わっていく、そういう変化が、遅ればせながら、この土地の、この10年にやってきた。
 ほんの少しずつだけれど、なにかが確実に変わりつつある。それがいいことか悪いことかはわからないけれど、砂浜で足元の砂が掘られるように、あるいは北極圏の氷河が溶けるように。
 そんななかだかこそ、出口を見出しつつあるこの林道もきっと、当初の使用目的とは違った役目を担ったほうが幸せにちがいないと思う。その答えを用意しよう。