天神の祭り

tokuyoshi2004-09-04

 先日、遠野の菅原神社で祭りがあった。
 ふらと立ち寄ったときはすでに仕舞いのころで、子どもたちの部はすでにおわり、おとなたちが相撲をとっていた。行司も、呼び出しも、審判も、力士も、お神酒に酔い、楽しげに相撲を盛り上げている。幼い頃からの同級生、先輩、後輩なんだろう。親密な空気が土俵をおおっている感じがした。

天神の山には祭りありて獅子踊りあり。ここにのみは軽く塵たち、紅き物いささかひらめきて一村の緑に映じたり。獅子踊りといふは鹿の舞なり。鹿の角をつけたる面をかぶり童子五、六人剣をぬきてこれと共に舞ふなり。笛の調子高く歌は低くして側にあれども聞きがたし。日は傾きて風吹き酔ひて人呼ぶ者の声も淋しく女は笑ひ児は走れどもなほ旅愁を奈何(いかん)ともするあたはざりき。 (遠野物語序文より)

 柳田國男さんが描いた祭りが、いまもおそらくほとんど変わらぬ山や里の風景のなかに息づいている