アナグマを見た

 朝、アナグマを見た。
 軽トラで走っていたら、左側の牧草地の向こう端にまるっこい毛だらけの生き物がいた。ネコでもタヌキでもないなあ、なんだ? と思い、行き過ぎたのでバックして、よく見てみようと路肩に停車した。でも、本心は、たぶんもういないだろうなあ、人間のこういう動きって怪しいからな、と思っていた。でもそいつはまだそこにいた。何しているのかなあと、じっと見ていたら30メートルも離れているだろう草地の端からからこっちに向かってくる。どんどん近づいてくる。
 どんどん近づいてきて、道路を登る斜面を登って、目の前に出てきた。軽トラのまん前。そして錯覚かもしれないけれど、こっちを見てペコッと一礼して(そんな気がした)道路を横断して、反対側の沢のある草むらに入って消えた。
 礼儀正しい、道路横断がていねいなアナグマだった。