おじゅっこ料理

 9月27日、雫石の中川一さんのところに行ってきた。中川さんは民宿をやっていて、最近では特区がらみの自家製どぶろくで話題のひとりだけれど、そのまえからずっと遠方から来るお客さんがだいすきで、体験型のグリーン・ツーリズムの分野でも先頭ランナーでありつづけている。
 
 みんなの目と舌をたいそう喜ばせたのが、中川さん自作のどぶろくもさることながら、「おじゅっこ料理」。
「おじゅっこ」はお重のこと。中川家にずいぶん古くからあって蔵に眠っていたという漆塗りのいくつものお重に、料理が入っている。今回は、写真のほかにもあったと思うから、10以上。
 人数が多かったからかもしれないけれど(10人ぐらい)、みんな銘々のお膳に座って、飲みながら食べながら、手渡しで、それらのお重を回し、食べたいだけ取って、自分の皿に置く。
 人力回転寿司状態といえなくないけれど、食べ飲みはじめの最初のうちは、具合のいいもんで、バランスよく、食べたいと飲みたいを満たしてくれる。見た目もきれいだしねえ。手に持ってやさしく軽いお重の料理を、初対面の人に「どうぞ」とかいいながら、目と目とあわせて隣の人に送っていく(右回りも左回りも)、それがいいよなあ、と思った。とりわける幸せが感じられる演出というのか。
 おじゅっこ料理、遠野では聞いたことないけれど、雫石では、まえからあったそうだ。
 豊かな食材が並ぶ、いい宴席だった。こういうの、いいな。