大きな木

              
工事が始まっている。
日々埃が舞い立っている。
大きな林道ができる。
参道に埃が立たないようにだろう、
水が小川となって流れている。
大きな杉の木をかすめて流れる清流の水を
ちょっとおすわけ、という感じでひいている。
この水は飲むことができる。
クマもタヌキもネコもイヌもヒトも飲む。
おおきな杉の木は
ずいぶん昔から生きてきて(五百年とか)、
曲り家ともいっしょだったし、
曲り家なんかない時代にもすでに立派だったろうし、
自動車とかダンプとか、
そんないまとつながっていて、
インターネットとか、
コンビニエンスストアとか、
鎧とか呪いとか、
地球環境とか宇宙とか、
それらもろもろを一緒くたの経験としている。
寿命の長い樹木はそれだけでたいしたもんじゃないか。