年末にあたって

いま住んでいるところは、山、というか、山の斜面にあって、建物のまわりを林がぐるりとめぐっているようなところだ。都市的な要素は、この住環境のなかにはあまりない。で、それが不便かというとそうでもない。車があり、ネットに接続し、電気が来ている。移動と情報とシェルターは十分、都市的なのだ。かえってこれぐらいのほうが慣れれば丁度いい。都市の人、モノ、金、情報の集積の仕方はやはり尋常ではない。

けれど心配がつねにある。車も、ネットも、電気も、どれも自己完結していないところだ。都市的なインフラに依存している。もっといえば海外に依存していて、山里の暮らしといいながら、都市から伸びた化石系(という表現は変かもしれないけれど)のネットワークの末端に依存的に位置していることは事実だ。世の中には、さきの化石系に対していえば自給系の暮らしの実現に果敢に挑んでいる人たちが少なからずいて、すごいなあ、えらいなあ、と心底思う。

自然災害、というのはいろいろなダメージを社会に与えるが、そのなかのひとつに、インフラの破壊、ということがある。そのとき、生き残り、孤立した人たちはどうやって当座をしのぎ、そののち、生活を再建していくのか。ことしはそのことを頻繁に考える年だった。

軟弱だよなあ、なってないよなあ、自分。と思う。ひとつずつ、その技を習得していきたい、と思っていた。でも思いをもっと強く、深くもって、技術の修得とそれにふさわしい身体の獲得にいそしもう。来年はね。え、いまからじゃないと駄目?