寒い冬は楽しい
ことしの冬は楽しい。去年の冬も楽しかった。おととしも楽しかった。よく考えると毎年楽しい。遠野の冬は毎年楽しい。
どうしてかな。ひとつは雪がいつもあること。いつも寒いこと。雪があっていつも寒いと、楽しい。動物の足跡がくっきり見える。鳥たちがいつもよりよく見える。
犬がきれい。きれいだから飛びついてきても服が泥だらけにならない。
馬がきれい。馬のからだが泥だらけにならない。馬は泥浴びが大好きで、だからいつもからだが泥だらけなのだけれど、この時季はサラサラ雪なので、いつもきれいだ(泥浴び好きは馬に限らないけれど)。
できるだけ毎朝の朝一番の日課として、犬や馬と、雪の森を走ったり歩いたりするのだけれど、犬も馬もうれしそうなのはそのとおりだが、それよりもっとうれしいと感じるのはぼくだ。ぼくは南の遺伝子を持つ人間ながらも、彼らのプレッシャーのおかげで、厳しい遠野の山の冬を嬉しくすごすことができている。連中のやんややんやがなければすっかり遠野の冬に負けていただろう。
ありがたいのは犬や馬や森などの他者だ。彼らの魅力のおかげでぼくも元気になれる。
冬は、冷たい。冬はきれい。
そんなよさがある。
それで冬のことをどんどん好きになるのかもしれない。