2005-01-01から1年間の記事一覧

お山の道開き

遠野盆地の北東に恩徳(おんとく、おんどく)という山あいの小さな集落があって、この集落をすぎるとまもなく立丸峠(たちまるとうげ)という険しい峠道となり、その向こうは川井、宮古へとつづく。 集落をずっと守ってきた神様は熊野権現様である。この本尊が…

雨が降れば

この時季、食べることとはあまり結びついていないけれども、林内や草地や枯れ木のあちこちにキノコが顔を出している。なんだか、梅雨の湿り気に乗じて、キノコ界のメンバーが結託して、あれやこれや腐らせ分解する作業にとりかかっているようで、こちらまで…

いた

思い込みというのはおそろしいもので、家の周りにはいないと思っていたモリアオガエルがいた。遠野では大洞カルストの湿地にいるということで、観察会に数年前参加したことがあったので、もっと人里から遠くて、標高も高くて、自然度の高い場所に生息してい…

きょうは一日、雨。 午前5時、「東北地方は一日中雨、ところによって大雨、ところによって雷」とネット気象予報が告げる。 雨はまだしも、大雨も雷も、山のうえでは嫌だなあ。 予定してた寺沢高原のホーストレッキング参加はパス。 きっと雨にも嵐にも負け…

森を走る

天気のいい日、空が晴れいてる日、森のなかを脚で走る、自転車で走る、車の窓をあけて車で走る。どれも気持ちがいい。森のなかに洩れる光と葉っぱの緑のコントラストがなんともいえず、ついシャッターを押しました、という娘の写真。

小麦色

この場合、色づくというのだろうか、麦が緑色から、うまくいえない色に変化してきた。いま思ったのだけれど「小麦色の肌」って、この色のことかなあ? それにしても変な植物だ。ほかの植物みんながこれから本格的な夏だぞっていう、濃い緑色を志向していると…

馬の道具

馬に関する道具は洗練されていて美しい。写真は馬と人をつなぐための道具(頭絡(とうらく)とハミ)。人はこの道具を馬の頭部に装着することで、人間の意志にって馬の運動のありかたをコントロールしようとする。この道具を含め、馬と人がコンタクトをとるい…

馬の里ホーストレッキング

馬の里主催のホーストレッキングが19日土曜日開催された。参加者は9人。参加頭数は6頭(7頭と思っていたけれど違った)。馬は先頭からバイキング、チビQ、あかね、キャンディ、メリーゴーランド、タカラクィーン。先導を馬の里スタッフの小林君が務め、往路…

アナグマを見た

朝、アナグマを見た。 軽トラで走っていたら、左側の牧草地の向こう端にまるっこい毛だらけの生き物がいた。ネコでもタヌキでもないなあ、なんだ? と思い、行き過ぎたのでバックして、よく見てみようと路肩に停車した。でも、本心は、たぶんもういないだろ…

3ヶ月前

今年の3月にカナダのソルトスプリング島から遊びに来ていたルミちゃん・ブライアン・レイ君一家。ブライアンが写した遠野旅行写真が彼のサイトに掲載されたので紹介します。それにしても雪がいっぱいあったんだなあ、3ヶ月前は。おんなじ場所とは思えない。 …

きれいな水、おいしい水

いま住んでいる住宅は、沢の水を建物に引いている。沢水は表流水なので、雨が降ればにごることもある。それでも森のそちこちから集まった水が小さな流れをなし、それを水源として、年中おいしい水を飲むことができるというのは、贅沢なことだと思う。東京で…

柔らかい、硬い

心は、柔らかく開いているときがあって、堅く閉じているときがある。前者のときは、無駄な力を使わずに外とコミュニケーションができるのに、後者になると防衛的になったり虚勢を張ったりする。そうやって、他人や外の世界を思うとおりにコントロールしたい…

森はやっぱり生きている!?

娘と森を歩いた。8歳の女の子の目線と皮膚感覚は、低く、近く、細かく、鋭い。彼女のガイダンスにしたがって歩くと、平凡な雑木林が、複雑怪奇な相貌をあちこちに覗かせているひとつの意思もつ化け物的な生命体のように思えてくる。いま住んでいる建物をぐる…

シンクロとネットワーク

『シンク SYNC』という本を読んでいる。副題は「なぜ自然はシンクロしたがるのか」というなんとも魅力的なものだ。 その前に読んでいた『複雑な世界、単純な法則 NEXUS:Small worlds and the Groundbreaking Science of Networks』から“つながって”これを読…

季節のめぐり

10日間ほど書かなかったことにあった季節的な出来事いくつか。 カッコウが鳴き始め始めました(23日)。 ホトトギスが鳴き始めました(27日)。 田んぼでカエルの卵を見つけ(23日)、いくつか持ち帰りました。はっきりしないけれど、ヤマアカガエルのものみた…

荒川駒形神社例大祭

荒川駒形神社の例大祭は毎年旧暦の4月8日だが、今年は5月15日の日曜日にあった。ここに移ってきてから、毎年、馬と一緒に参拝する。というのも昔は、ここの例大祭ともなると前夜の宵宮のころから、牛馬と人でたいそう賑わってというからで、しかもいまは昔日…

花にみずしずく

久しぶりの本格的な雨降り。まとまった雨は10日以上降っていなかったはずで、雨音が耳に心地いい。花に付いた水滴が、大小さまざまな球状で、上下に付着しており、妙に有機的で(無機質のはずなのに)なまめかしく、よく見ると向こうの山と空を倒立させて映し…

5月という時

5月の森や野は、不思議な世界だ。眠っていたものたちがみな起きだす。草も木の葉っぱも鳥もカエルも虫も人も、み〜んな起きだす。死んでいなかった。みんな長い冬をそれぞれ苦労もあったろうが越してきた。そして起きだした。みんな無事だったか、そうかそう…

浅い春の、早い朝の匂いについて

あと何回かは雪が舞うのかもしれないが、雪の季節から雨の季節に、やっと、と言っていいと思うが、変わった。 春先の朝の雨の日の独特の匂い、というのがあると思う。雨じゃなくても湿気ている浅い春の朝の匂い。有機質で、ちょっと、発酵だか腐敗だか、それ…

春が来て

『複雑な世界、単純な法則』(マーク・ブキャナン著)という本を読み出している。そのほんのちょっと前に村上龍の『半島を出よ』を読み出している。交互にちょっとずつ空いている時間に読んでいる。そうするとなぜか面白い。どうしてだろう。 遠野にも例年より…

カラス

山間の河岸段丘のような森の中の斜面に住みだして4年目になるが、いまだスズメが来ない。スズメの姿を見かけない、というのはここを人里としてスズメに認知してもらっていない、というような感じがして少々淋しい。その代わり、野鳥は住み着いているのも、ど…

東北ツーリズム大学、2004年度、終了

東北ツーリズム大学、なる名称のわれわれの使命=仕事=企画=実験の一年目が終了した。大学、なので、学ぶ人と教える人がいて、それぞれの内容を詰めることが仕事だったし、そのキャンパス(学び舎)をその都度、舞台として作り上げることが仕事だった(なぜなら…

動き出す

立春をすぎて、日差しが強くなって、晴れの日の車のなかが思いのほか温まっている。朝、木立から野鳥のさえずりが聞こえるようになった。ツピーとかツツピーとか。森のなかのウサギの足跡の数が1月より明らかに増えた。ツララが太陽光にあたってさかんに溶け…

『希望格差社会』

『希望格差社会』という本を読んでいたら、すごく気が滅入って、しかも、ちっとも新しくない滅入り方だ。ここ10年、いや少なくとも30年以上前から気づいていて、忘れたふりをしていたことがらへの気の滅入り方という、蒸し返し風の感覚を受けた。 非対称性と…

寒い冬は楽しい

ことしの冬は楽しい。去年の冬も楽しかった。おととしも楽しかった。よく考えると毎年楽しい。遠野の冬は毎年楽しい。 どうしてかな。ひとつは雪がいつもあること。いつも寒いこと。雪があっていつも寒いと、楽しい。動物の足跡がくっきり見える。鳥たちがい…

郵便屋さん

都会とここの暮らしで違うことのひとつに郵便屋さんがある。都会の郵便屋さんは郵便物を各戸に届ける仕事をするよく知らない人、というのが普通だと思うが、ここではそうではない。郵便物も届けてくれるよく知っている人、というのが普通だったりする。 それ…

カモシカの行動時間

昨夜9時ごろけっこう激しく雪が降っていたので、積もるかなと思ったが、朝6時過ぎには止んでいて、新雪は数センチ程度であった。あれからまもなく止んだのだろう。 でもそのうっすらと積もった雪のおかげで、朝、動物たちの足跡が明瞭だった。犬のフウとの散…

犬の散歩

朝、犬と散歩をするのがほぼ日課である。たいていの犬は、みんな無条件に散歩が好きなのだろう。うちの犬も散歩が好きだ。散歩に行くそぶりをすると、土間で尻尾をぶんぶん振っている。 いまの散歩コースは林間で、葉が落ちる冬はなかなか快適である。雪が積…